2017年8月(248号) モノではなく価値を、得ではなくためを売る!

【商売の原点と、現在の商売の重要性】
商売の原点は、海彦・山彦の神話ではないですが、山で採れたモノを海辺で暮らす人たちへ、海で採れたモノを山で暮らす人たちへ・・・と、物々交換から始まり、取引が繰り返されていく間に、金・銀・銅のような石のお金ができ、持ちやすい紙幣へ進化し、それがカードへ発展、ついに仮想通貨まで現れました。また、山のモノを海へ、海のモノを山へと商品を販売する人が現れ商人と呼ばれ、行商から店舗を設けるようになり、〇〇屋とされる業種店から、色々な商品を取り扱う業態店と発展してきました。この話からもわかるように、人は無い物を欲し、それに対価を支払います。無い=欲しい=価値です。だから必要にもかかわらず数が少なく、手に入りにくい品は価値が上がり、高い価格で取引されます。反対にいくらでも手に入るものは、価値が低く安い価格で取引されます。そして、暮らしに必要な商品が手軽に手に入るようになった今の日本では、欲しいと思う商品がだんだん減ってきました。そこで価値のある商品を取り扱うこと、商品の価値を伝えることが重要になってくるのです。

【モノだけを売らず価値を、そして「得」ではなく「ため」を売る。】
僕が、お酒・お米の宅配専門店として独立4年目の時、当時の酒屋さんの年商が4千万ぐらいだったのに、1億8千万円も売上をあげることができました。その理由は、まわりのお店は大手メーカーの日本酒を販売していていましたが、僕の店では、新潟の地酒を販売したためです。一般の家庭では、食卓でブレンド米を食べていましたが、僕は、新潟コシヒカリを販売したのです。消費者からみると、どこの国の商品か解らないモノよりは国産を選び、国産よりも産地がハッキリしている方を選びます。さらに、〇〇県産より〇〇市や〇〇町と言うように、同じ価格なら細かな産地がわかる方を選びます。もっと言うならば、〇〇町の誰が作ったと言う方がより価値=大切さが伝わります。また、日本一のテレビ通販会社となったジャパネットタカタさんは、使用価値を伝えて商売を成功させました。また、紙媒体やテレビCMはスペースが限られていますが、インターネットでは、詳細な説明ができ、しかも多くの人に視聴・閲覧されるので様々な要素の価値が伝えやすく、しかもスマホの普及により、手軽にどこでも閲覧できるので、ネット経由で購入が増えるのは、当たり前と言えばそれまでです。
人間の欲求を唱えたマズローの自己実現理論では、物質的満足が満たされると悟りの欲求が強くなり、道徳的欲求すなわち人や世のために役に立ちたいという心理が強くなると説かれています。まさにそのとおりで、各企業では空前の人手不足といいますが、震災の復興支援やイベントなどでは、各種ボランティアとして多くの人が集まります。人・物・金の中では人が重視され、モノ余りの中、衣・食・住においては、食べればなくなる、「食」の消費だけがプラスに転じています。僕がビジネスとして取り組んでいる「食」には、健康や美味しいだけではなく、便利、簡単、個食、少量、復興支援や地方創生などが新たなキーワードとして、出てきました。誰かのため、世のため、国の課題に取り組むため…など、モノを売るだけでなく、「価値」を売る、「ため」を売ることが、商売にとっても重要な指標になってきました。これまた商売繁盛の法則なり・・・・

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