たかが干物、されど干物。単純だから難しい!!
渡邊水産さんとの出会いは、平成17年に国内47都道府県で先駆けてブランド推進課を設立した島根県庁と県産品の開発と販路拡大支援として業務提携した時期に紹介していただいたのがきっかけでした。
それ以来、定期的に期間限定で島根の魚を使った干物の取り扱いをしています。
代表は昔に一度訪問したことがあるそうですが、私は初めての訪問です。
渡辺水産様は現社長の渡邊一社長の先代(お父様)が昭和40年に創業され、平成23年に一社長が就任。
干物は魚に塩を加えて干すだけのシンプルな商品。だからこそ原料の調達にこだわっていらっしゃいます。
旬の魚をそれぞれの時期に、干物にする原料(魚)を刺身で食べてみて、脂質を確認しているこだわりようです。
8年前から跡継ぎとして入社した社長の長女のご主人岩田部長に対応いただきました。
代表が10年前に来た時より事務所も改装されて従業員も増えて活気にあふれているとのこと。
たしかにパートの方はほとんど女性です。
岩田部長は5年前の売上2億8千万円から現在は3億8千万円と1億円もの売上アップさせた期待の跡取りです。
早速、岩田部長に工場を案内いただきました。
旬の時期に新鮮な魚を仕入れています。
写真はかますですね。
干物は原材料の魚が命なので、仕入れる魚には条件があります。
①漁獲してからの船上での処理をきちんとする漁師から仕入れる(鮮度の劣化に違いが出るため)
②脂がない時期のものは極力使わない
③旬の時期にいっきに買い込む
④漁に出てから港へ帰ってくる
こちらは開き加工をする場所
ちょうどお昼休みでした。。
全て手作業でさばいていきます。
一つ目の特徴は、すべて背開きでおこなわれること。
背開きにできるということは、鮮度がいい証拠なんです。
なぜかというと、生き物は内臓から腐敗が始まり、内蔵のあるお腹は
鮮度が悪くなるとやぶれて穴があきやすくなるんだそうです。
開いた後は塩水につけるのですが、この塩かげんも重要で
その日の湿度や気温、魚の種類、魚の大きさ、脂ののり方で変えていかねばなりません。
塩水の上にのっているのはその濃度を記したものです。
下記は10%ってことです。
壁には幾種類ものラベルがあるので、その大変さがわかります。
現場ではかますとあなごがトレーに並べられています。
塩漬けした魚を乾燥させます。もちろん乾燥時間も微妙な調整を毎日重さね、
絶妙のタイミングに仕上げていきます。渡邊水産では水分量が60%~70%に
なるぐらいまで乾燥させています。
この水分量にすることで、焼き上がりがふっくらしたり、焼時間が短縮されたり、
きれいに焼けたりとメリットがあるそうです。
それに、骨から見離れがいいので食べやすいとのことです。
工場見学が終わると、干物の試食を出してくれました。
まずは笹カレイ。
頭と尻尾をハサミで切り
,p>両面の真ん中に切り込みをいれて両手で開くと、
みごとに骨だけがとれました。
これは新鮮で絶妙な乾燥具合のたまものです。
卵も入っていてぷちぷち食感もいいですね。
次は真あなご
弾力と鼻に入ってくるあなごの香ばしいかおりがたまりません。
わさびをつけて食べるとまた格別でしょうね。
白いかはやわらかいですが、ほどよい食感でかむと旨味が広がります。
早速、時期、魚種やタイミングをみて取り扱いたいと思います。
岩田部長ありがとうございました。