明治35年創業。三重県尾鷲市で伝統を受け継ぐ「いぶしかつお」を求めて。。。
西名阪自動車道から伊勢自動車道を経由し、紀勢自動車道を経て3時間で尾鷲市へ。
今回は、明治35年創業で4代にわたり、
伝統の「いぶしかつお」を作り続ける
大瀬勇商店へ訪問してきました。
住宅地の中の一角に大瀬勇商店はあります。
外観は普通の一軒家で大きな表札が掲げられています。
20歳から現場に入り、生節を作り続けて40年近くになる
4代目 大瀬勇人社長からお話をお聞きしました。
尾鷲をはじめ、古くから漁業が盛んな地方では、昔から親しまれている魚介類の伝統的食品がいくつかあります。
「いぶしかつお(かつおの生節)」もそのひとつとのこと。
新鮮なカツオを三枚におろした後、大きな釜で煮て、桜や樫の木でいぶすことで、
素材の旨みを引き出すことが出来る上、長期保存が可能になるんだそうです。
カツオは捨てるところがなく、身だけじゃなく、アラもヘソ(心臓)も食べるそうです。
ヘソは炊くか、湯がいて塩を振って食べるそうです。(驚き!!)
頭なら目玉も食べるし、肝も食べるし、塩辛も作っています。
なんと!カツオの尾は爪楊枝にもなるそうです。
また、尾鷲ではこの三枚におろした後の骨の部分を甘辛く煮て(あら炊きみたいなものですね)、
食べるのも家庭料理の一つだそうです。
かつおの生節はこんなに大変な作業なんです。
かつおの生節の行程は
三枚おろし→ゆがき→骨取り→いぶし→骨取り→真空パック→殺菌して完成。
三枚におろしたカツオはすぐに湯がかず、一日冷蔵庫で眠らせます。
すぐにゆがくと身がボロボロにはがれてしまうそうです。
一日寝かせたカツオは沸騰させないくらいの温度で90分じっくり湯がきます。
そのあと水でさましてピンセットとナイフで細かい腹骨を取り除きます。
これは根気がいる仕事です。(※画像をクリックで動画が開きます。)
もしくは、こちらから動画が見られます。
腹骨をとったカツオを「セイロ」と呼ばれる竹を組んだ木枠に並べていきます。
この木枠は創業の時から使っているとのことでずっと使い続けているそうで
煙でいぶされるので、見た目以上に丈夫なんだそうです!
カツオが敷き詰められるといぶし作業が始まります。
十分に乾燥させた桜の木や樫の木を燃やします。
煙が出だすと、
セイロを順番に重ねていきます。5~6段を順番に重ねて
じっくり3時間いぶします。
茹でて白かった表面がいぶされてどんどん茶色みを帯びてきます。
できあがりはいぶしの匠が見た目と触った時のしっとり感で判断します。
これは経験を積んだ匠にしかできないところですね。
これで完成かとおもいきや、いぶされたカツオは再度、小さいナイフで丹念に骨取りを
行い、成型していきます。
その後、
一本づつ真空パックにして
殺菌を行い完成となるんです。
4代目社長といっしょに行程を教えて頂いた社長の甥である大瀬邦裕さんは現場に入って10年になり、
ゆくゆくは5代目となり、この伝統を引き継がれるそうです。
ものづくりに対する熱い思いが伝わってきました。
このいぶしをカツオだけではなく、時期に応じてブリなどでも作っておられます。
尾鷲といえば、特産品に伊勢海老があげられます。その他あわびなどもとれるので
高級いぶし商品の開発もおもしろいのではないかと思いました。